フォアフットとミッドフット、そしてヒールストライク。着地位置によって呼び方が異なるランニングの着地法ですが、最適な方法はランナーの目的や目標、そして走る距離などによって異なります。まずは特徴を理解し、自分にとって最適な着地方法を選びましょう。

フォアフットの特徴

足裏のつま先側(前足部)で着地するフォアフット。海外ランナーに多く見られる走法で、最近よく耳にするカーボンプレート搭載のシューズ等は、まさにこのフォアフットでの走りが前提となっています。

フォアフット着地
フォアフット着地

フォアフットは、下肢の中でも主にバネ筋(アキレス腱からふくらはぎ周り)を用いる走法です。着地位置が身体よりやや後方になるため、反発がそのまま前方への推進力として働きます。さらにストライドが伸びやすく、ダイナミックはランニングフォームが実現しやすいでしょう。

膝関節への負担は少ないですが、これら筋肉軍は小さいため疲労が早く、長時間のランニングには向きません。バネ筋の発達したランナーでなければ、フルマラソンをフォアフットで走り切ることは難しいでしょう。ただし、もっともスピードが出しやすい走法ため、記録更新を目指すシリアスランナーであれば習得を目指してみてください。現在の走法がヒールストライクなら、まずフォアフット走法から始めてみることをおススメします。

ミッドフットの特徴

ミッドフットとは中足部を表し、実際のランニングでは足裏全体で地面に着地する走法です。以前にはテレビドラマでも取り上げられるなど注目が集まり、ミッドフット走法に最適化されたソールのフラットなシューズも多く登場しています。

ミッドフット着地
ミッドフット着地

ミッドフット走法では着地時に足裏全体で身体を支えられるため、安定性が高くなるでしょう。体幹部を使い、下肢だけでなく全身で推進力を生み出しやすい走法です。身体のほぼ真下(頭→方→腰→脚の直線上)に着地することとなり、着地衝撃を全身で受け止めることで膝関節等に集中しなくなります。そのため、膝の故障を頻発しているランナーなら、その予防にも繋がるでしょう。また、上下に跳ねる動作が少なくなり、ランニングエコノミーの向上も期待できます。

ヒールストライクの特徴

ヒールストライクは、ヒール(かかと)部分から着地する走法です。私の知る限りでも、国内ランナーでは自然とヒールストライクで走っている方がもっとも多いでしょう。ランニングシューズもこのヒールストライクを想定し、かかと部分のソールが厚くなっているものが少なくありません。

ヒールストライク
ヒールストライク

かかと着地ではクッションで着地衝撃を吸収し、その反発を重心移動によって生かしながら前方への推進力へ変換していきます。ソールが薄いと着地時の衝撃が大きく脚を痛めるため、ヒールストライクではクッション性の高いシューズを選ぶ方が多いはずです。クッションに衝撃吸収をサポートされる分、下肢を含めた身体への負担は軽減されます。その反面、守られている分だけ筋力の強化は望みにくいでしょう。

かかとから着地する場合、着地した瞬間に脚は身体より前に位置します。そのため、基本的に反発力が得られるのは後ろ方向(走るのと正反対)です。上手く重心移動が行えないと“ブレーキ”が掛かる状態となり、着地するたび失速する状態となってしまいます。また、地面からの着地衝撃と上から乗る上半身の体重とが膝等に集まり、怪我の原因にもなりかねません。

自分の走法を確認するには?

自分がどの走法で走っているのかを知るには、第三者に見てもらう、もしくは動画等で客観的に走りを確認するのが一番の方法です。私もパーソナルレッスンを行う際にはORPHE TRACKでのデータ取得と共に、目視で特に着地方法を確認しています。また、動画を撮影して共有することで、ご本人も納得感を持って改善に向けたトレーニングへ取り組めるようです。

しかしこれが難しいようなら、裸足になって走ってみてください。ただし、アスファルトのように固い路面ではなく、芝生などを選びましょう。シューズを脱ぐことで足裏が地面とダイレクトに接するため、「足裏のどこで着地しているか」が意識しやすくなります。シューズを履いていると足裏は地面ではなくインソールに接するため、いくら頭の中で意識しても、実際にはイメージ通りの走法になっていないケースが多いでしょう。

私自身、現在でも裸足あるいはこれに近しいシューズでのランニングを行い、フォーム改善に取り組んでいます。いざ裸足で走ってみて、「こんな走りだったのか」と驚く人は少なくありません。ただし、裸足ではシューズのように地面からの着地衝撃を和らげてくれる存在がないため、走り過ぎに注意してください。かえって怪我を引き起こす原因になりかねません。

まずはフォアフットを目指そう

基本的に、より速いスピードで走りたいならばフォアフット、ランニングエコノミーを考えて効率的な走りを目指すならミッドフットがおススメです。ヒールストライクもスローペースのジョギングやクールダウン等であれば構いませんが、本格的な練習やレースでは不向きでしょう。ブレーキが掛かり、膝への負担も大きくなりやすいので避けた方が無難というのが個人的な見解です。

しかし前述の通り、多くのランナーはヒールストライクで走っています。そのため、まずはフォアフットでの走法を目指してみてください。走りが楽になり、スピードが出しやすく、怪我しにくいランニングフォームに繋がるはずです。まずは短い距離から意識し、段階的に改善していきましょう。

三河 賢文

“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、ランニングクラブ&レッスンサービス『WILD MOVE』を主催。マラソン大会の企画・運営にも携わる。
“運動できる”コワーキングスペース『Plus Fit』オーナー、ナレッジ・リンクス(株)代表、NPO法人HASHIRU理事。ORPHE TRACKアンバサダー。4人の子を持つ大家族フリーランス。