ランナーの皆さんは、いつもどのような場所を走っているでしょうか。皇居や大阪城公園、名城公園など全国各地のランニングスポットをはじめ、きれいに整備された道を走ることが多いはずです。これらの道は確かに走りやすいですが、さらなるレベルアップを目指すために、取り入れてほしいのが不整地でのトレーニング。大人はもちろん、子どもの走力アップにもおすすめです。その理由について、より効果的なトレーニングを行うためのポイントと共に解説します。

不整地トレーニングのメリットとは?

まずは不整地を走ることで、どのようなメリットを得られるのか確認しましょう。

1. 体幹を使った走りが意識できる

足場が不安定なため、重心位置のコントロールが難しくなります。気を抜くと腰が落ちたり、上半身がブレたりしてしまうでしょう。ランニングフォームを維持するのに欠かせないのが体幹部。不整地ではロードなどと比べ、体幹を意識して走りやすくなるはず。体幹部が鍛えられ、安定したランニングフォームの獲得に繋がります。

2. ハムストリングスやお尻の筋肉を使う

不整地では着地した際、地面からの反発がほとんどありません。むしろ土などコンディションによっては、足が沈み込むような感覚になるでしょう。そうした環境で走るには、しっかり地面を蹴って(押して)前への推進力を生みださなければいけません。そのために使われるのが、ハムストリングスやお尻など裏側の筋肉。そしてこれらの筋肉をランニング時に使えるようになると、回転が大きく、ストライドの広い走りが獲得できます。そのため、初めて不整地でトレーニングした方からは、「ハムストリングスやお尻が筋肉痛になった」という声が少なくありません。

3. 同じペースでも心拍が上がる

不整地の多くは、平坦に見えても細かく起伏しています。起伏がある場所を走ると、同じペースでも平坦な道と比べて自然と心拍が上がります。そのため、いつも通りにジョギングするだけでも、自然と心肺負荷の高いトレーニングになります。「走り込みは苦手だけど心肺機能を高めたい」といった方にとって、不整地は適したトレーニングコースと言えるでしょう。

もちろんインターバルやペース走などを不整地で行えば、驚くほど負荷のトレーニングになるはず。限られた時間で追い込みたいという際にも、ぜひ不整地を活用してみてください

4. 足首が柔軟かつ強くなる

アスファルトのように平坦ではないため、着地した際には足が左右前後へ傾きやすくなります。しかし、そのままでは上手く進むことができません。走るうえでは着地した際に安定して片足で身体を支え、向かうべき方向にしっかり押し出すことが必要です。そのため、足首周りが強くなり、一方で柔軟性も高まります。着地から蹴り出しまでの動作が効率化するだけでなく、捻挫などの怪我も起こしにくくなるでしょう。

シューズを脱いで裸足で走ってみよう

芝生のような場所であれば、シューズを脱いで裸足になってみるのもおすすめです。シューズにはクッションがあり、これが反発力を高めてくれています。しかし裸足では、この反発を得ることができません。自身の足に備わったバネをフル活用して走る必要があり、脹脛などのいわゆる“バネ筋”が鍛えられます。

また、シューズを履いていると着地した際、自分の足がどのように地面と接しているか分かりません。多くの方は無意識に、踵から着地したり側面から巻き込むように着地したりしています。また、指先まで使って力強く地面を押し出せていない人も少なくないのです。効率的かつ力強いランニングフォームを獲得するなら、足裏全体でしっかり地面と接し、足指まで使って走ることが重要です。裸足になることで、普段は気づかない課題が見つかるでしょう。

特にプロネーション(足首の傾き)に不具合があったり、踵着地で膝に負担が集中していたり(怪我の要因にも)。こうした部分は、できるだけ早期に改善することが大切です。裸足での運動は、こうした課題を自然と強制してくれる有効な手段となります。

なお、いきなり裸足で走ると、かえって怪我してしまうかもしれません。まずは歩いたり軽くジョギングしたり。あるいは、ランニングドリルのようにゆっくりした動きから取り入れてみてください。

おすすめトレーニング「ファルトレク」

最後に、不整地で走るなら是非とも実践してほしい練習法「ファルトレク」についてご紹介します。ファルトレクは起伏のあるコースを使い、走るペースを変化させながら走るというもの。例えば60分の中で、1分毎にハイペースと緩やかなペースを繰り返す…といったイメージです。ペース変化に対応しやすくなるほか、持久力やスピード強化も期待できます。ある程度の時間で行えば乳酸の蓄積した状態で走り抜くためのトレーニングにもなり、「レース終盤で失速してしまう」といった方にもおすすめです。

なお、不整地はアスファルト等と比べて、足への負担が少なくなります。アクティブレスト(積極的疲労回復)や怪我した後のリハビリの際に、適したランニングコースとなるでしょう。私も定期的に、近くにある森でジョギングやインターバル走などを行っています。例えば近所の公園で芝生部分を繋いだり、河川敷の脇道を走ったり。意外と身近にも不整地コースがありますので、ぜひ探してみてください。

三河 賢文

“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、ランニングクラブ&レッスンサービス『WILD MOVE』を主催。マラソン大会の企画・運営にも携わる。
“運動できる”コワーキングスペース『Plus Fit』オーナー、ナレッジ・リンクス(株)代表、NPO法人HASHIRU理事。ORPHE TRACKアンバサダー。4人の子を持つ大家族フリーランス。