日々のトレーニングを効果的なものとするには、高いパフォーマンスを維持することが大切です。そのために、走った後はできるだけ疲労を取り除きましょう。ここでは2回に分けて、具体的な疲労軽減法をご紹介します。まずは「食事」と「入浴」について、詳しく見ていきましょう。

ランニング後に摂取したい栄養素

まずは運動後、疲労回復のため積極的に摂取したい栄養素を覚えておきましょう。特にここで取り上げるものは、ぜひ食事に取り入れてみてください。

グリコーゲン(糖質)

体内(肝臓、筋肉)に貯蔵され、運動するために重要となる直接的なエネルギー源です。

グリコーゲン(糖質)が多く含まれる食品

レバー、貝類(ウニ、牡蠣、ホタテ など)、エビ など

タンパク質

筋肉の主成分であり、運動で損傷した筋肉を修復するのに必要です。

タンパク質が多く含まれる食品

肉類(生ハム、鶏ささみ など)、魚介類(いくら、たらこなど)、卵、大豆、乳製品 など

アミノ酸

たんぱく質を構成し、体内で合成できる「非必須アミノ酸」と体内で合成できない(=外から摂取しなければいけない)「必須アミノ酸」があります。

アミノ酸が多く含まれる食品

  • 必須アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシンを総称したBCAAが有名)
  • バリン:マグロ、レバー、チーズ、豆腐 など
  • ロイシン:鶏むね肉、カツオ、鶏卵 など
  • イソロイシン:マグロ、鶏卵、豚ロース など非必須アミノ酸(アルギニン、グルタミン、グリシン などが有名)
  • アルギニン:豚ロース、伊勢海老、鶏むね肉 など
  • グルタミン:大豆、小麦粉、チーズ など
  • グリシン:車エビ、うに、豚挽き肉 など

水分&電解質

運動時には発汗するおことで、体内から多くの水分と電解質が失われます。特に暑い時期は発汗量が多く、脱水症状などを引き起こす可能性があり積極的な摂取が重要です。なお、電解質はナトリウムやカリウム、マグネシウム、カルシウムに分かれ、それぞれ多く含まれる食品が異なります。

水分&電解質多く含まれる食品

  • ナトリウム:塩、醤油、味噌、ハム など
  • カリウム:海藻類、果実類、芋類、大豆、豚肉 など
  • マグネシウム:海藻類、魚介類(干しエビ、しらす干しなど)、穀類、豆類 など
  • カルシウム:魚介類(イワシ丸干しなど)、大豆、乳製品、緑黄色野菜、海藻類 など

このほか、疲労の原因となるアンモニアを除去・解毒するシトルリンやオルニチン、乳酸分解による疲労回復効果が期待できるクエン酸なども。瞬発系の運動を行うなら、クレアチンの摂取もおすすめです。

すぐに食事できない場合はサプリメントを活用

運動直後の約45分は「ゴールデンタイム」とも呼ばれ、身体が栄養を吸収しやすい状態になっています。そのため、運動後の食事はできるだけ早いタイミングが望ましいでしょう。とはいえ、すぐに食事できないシーンも多いはず。そんなときは、必要な栄養素をまずサプリで補給するのもおすすめです。

また、運動後は疲労していて、なかなか食事が喉を通らないということもあります。そうした場合も、サプリメントなら無理なく必要な栄養を補給できるでしょう。私も大会などではアミノ酸をはじめとしたサプリメントを常備し、ゴール直後に摂取しています。

意外と知らない「入浴効果」とは?

ランニング後はサッとシャワーを浴び、汗を流して終わり。そんな方は多いかもしれません。しかし疲労回復という観点から見ると、シャワーで済ませず入浴(=温浴)するのがおすすめ。なぜなら、入浴には以下のような疲労回復効果が期待できるのです。

血流を促す「温熱効果」

入浴するとお湯で体が温まるでしょう。そして体が温まると血が巡りやすくなり、体内に蓄積された疲労物質などが排除されると言われます。

筋肉をほぐす「水圧効果」

お湯の中には水圧があり、この水圧によって肺に圧が生じます。すると肺の容量が小さくなり、より多くの酸素を取り入れて元に戻そうと血流が促進。その結果、血液が循環することで疲労回復に繋がります。また、水圧は程よく筋肉にも圧を掛けてリンパの流れも良くなり、筋肉がほぐれてマッサージのような効果も期待できるでしょう。

心身をリラックスさせる「浮力効果」

プールに入ると身体が浮かぶように、お湯の中でも浮力が生じます。この浮力によって身体が軽くなると、筋肉が緊張状態から解放されやすく心身がリラックスできるはず。このリラックスした状態でこそ、疲労が回復しやすくなります。

おすすめの入浴方法

せっかく入浴するなら、効果的な入浴を実践しましょう。疲労回復が目的であれば、お湯はぬるめ(40度程度)にして15~20分程度の入浴がおすすめ。身体が温まりリラックスした状態になるので、そのまま就寝すれば睡眠の質も高まります。

なお、いきなりお湯に浸かるのではなく、「かけ湯」してから入浴すると身体への負担が軽減されます。疲労回復のためには、全身浴ではなく半身浴も効果的です。全身浴の場合、特におすすめなのが「温冷交換浴」。これは全身浴で身体をしっかり温めた後、冷水で身体を冷やした再び入浴…を繰り返すものです。温冷による刺激により疲労物質である乳酸等が体内から除去しやすくなると言われ、私も疲労度の高いときは良く実践しています。なお、冷水は心臓への刺激が強いため、足から少しずつ掛けて冷やすようにしてください。

疲労を残すことは怪我の原因にも

身体に疲労が残った状態では思うように動作できず、せっかくのトレーニングも効果が薄れてしまいます。また、筋肉の疲労が蓄積していけば、やがて痛みが生じたり怪我に繋がったりする可能性もあるでしょう。こうした疲労軽減まで含めてトレーニングだと考え、ぜひ取り入れてみてください。次回はさらなる疲労軽減法として、ストレッチやマッサージをご紹介します。

三河 賢文

“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、ランニングクラブ&レッスンサービス『WILD MOVE』を主催。マラソン大会の企画・運営にも携わる。
“運動できる”コワーキングスペース『Plus Fit』オーナー、ナレッジ・リンクス(株)代表、NPO法人HASHIRU理事。ORPHE TRACKアンバサダー。4人の子を持つ大家族フリーランス。